激動の 2009年を何とか乗り超えて未来へ向かう今この時ですが、これから 2010年以降に起こるであろう米国でのトレンドをこの年末に少し予測しながら未来への心の準備をしておこうと思います。まずはメディア関連について。
メディア
米国のメディアは、映画、新聞、地上波 TV、ケーブル TV、インターネット、モバイル・・・様々なものが存在し共存していますが、どのメディアを誰がどの位利用するかという見方ではなく、とにかく便利なものを便利に使いたいという意識が先にあり、どうすれば上手くメディアを消費出来るかという考え方で市場が形成されて行くだろうと考えられます。
その中でもデジタル・メディアはまだ発展の初期段階にあると考えられますが、消費者はその利用を既に様々なデバイスを通して行っています。まさに発達途上の世界ですから、今後どのようなデバイスや利用法がメジャーになるのかを予測出来る状況にはありませんが、米国人の生活環境を基盤に考えると概ね以下のように推移すると予想しています。
1.Television
High Definition
米国では地上デジタル放送が 2009年の前半から既に始まっていますが、High Definition という高解像度のデジタル環境が更に普及し、より多くの視聴者がより鮮明な画質の放送を見ることとなるでしょう。従って TV に映し出す元の映像レベルも必然的に高解像度の物が求められることとなり、供給側のコンテンツの質も含めて市場全体を High Definition へと変化させていくと考えられます。DVRs (Digital Video Recorder)
デジタル画像の録画機能も更に便利になり、長時間録画やデジタル編集が簡単に行えるため、現在でも既に主流になっている録画による視聴時間のシフトが更に進むこととなるでしょう。米国で主流のケーブル TV の世界ではオン・デマンドでデジタル録画された映像をコマーシャル抜きで見ることが普通となり、広告メディアの収益に対する考え方にも大きな影響を与えるでしょう。これはこれまでの TV 業界の収益の仕組みを変えることとなり、ビジネス的な大きな変化が生まれると考えられます。チャンネル
オン・デマンドで映画や番組を流すチャンネル(専門チャンネル)が更に増えることで、視聴者が自分の好みに合った番組を見る傾向が強まり、結果として TV の前に座る時間は減少しないことになるでしょう。これは映像や情報を見るために TV の前にいる時間が減少しないということであって、決して通常の TV の番組を見る時間が変化しないという意味ではありません。米国の TV 番組は既に全てが専門チャンネル化されていると言っても良い状態ですが、更に専門・特化されたチャンネルが生まれ趣味趣向の収束化が進むと考えられます。
スクリーン数
様々な情報を TV 画面を通して手に入れる傾向が強まるため、各部屋に TV スクリーンが配置され、その家に住んでいる人間の数よりもスクリーンの数の方が多くなるという現象が生まれるでしょう。
2.インターネット
帯域幅とスピード
米国の殆どのユーザーがブロードバンド環境に置かれることとなり、これまで以上のリッチ・コンテンツがダウンロードされ利用されることになるでしょう。米国でのブロードバンド普及率やそのアクセス・スピードは日本と比べると大分劣っているのが実情ですがそれも徐々に改善されると考えられます。但し、米国のブロードバンド環境では、日本のようにプロバイダーの細かい制約に縛られてユーザーが決められたことしか出来ないという不自由さはあまりありません。利用範囲
リッチ・メディア、ストリーミング・メディアに加えてこれまでのオフライン情報がオンラインへと移行していくことから、利用出来るコンテンツは大幅に増加して行くと予想されます。特に Facebook や Twitter のようなソーシャル・メディアの利用範囲がさらに広がるでしょう。
アクセス
米国では 40%以上のオンラインビデオが仕事場で見られているという調査結果が示しているように、作業時間に含まれるオンライン・ビデオの視聴時間はこれからも増加する傾向にあると言えます。これは仕事中にビデオを見て遊んでいると言うよりも、ビジネス情報が今後よりビデオ化されて配信されるだろうということを示しています。言葉よりも画像、画像よりも動画、より説得力のあるものに主流は移って行くと言えます。
3.モバイル
インフラの整備
インフラ環境は更に充実することが明らかになっています。3G から 4G への移行が始まり、更にモバイル環境での情報スピードは上がることとなります。
新しいデバイス
iPhones、Blackberries、SmartPhones、App Stores による機能拡張、そして Droid 端末などがモバイル環境をリードし、多くの情報を消費させることとなるでしょう。


新しいコンテンツ
より多くの TV 番組がモバイルで見れるようになり、結果として何処でも TV を見れる環境が整います。
何処でも、何処からでもメディアにアクセス
モバイルの発達によって、場所を選ばず何処からでも情報を入手し、また情報を発信できる世界となります。
以上の内容から導かれる世界と新たに生まれる課題
何処でも TV およびそれに準じたビデオ・コンテンツを見ることが出来るようになるでしょう。そうなるとネットの中立性に関して、全てのユーザーが同じコンテンツにアクセス出来る環境でなければならないとするのか、何かプライオリティを付けてメディア側がユーザー単位に情報をコントロール出来ることを許すのか? というようなネットの中立性に問題に注目が集まる可能性が出てきます。
また、インターネットの費用に関して、大きな帯域を使用するヘビーユーザーと僅かな帯域しか使用しないライトユーザーの間に価格差を生じさせるべきか? という論争がさらに一般化されることとなるでしょう。
Internet TV という環境が浸透することによって、TV 番組とインターネットが連携し双方向環境が実現することとなります。この環境は特に広告業界に新しい顧客リーチの方法論を提供することとなり、特定顧客へよりセグメント化された広告の提供を行ったり、番組内容に対応した広告をより確度の高いユーザにピン・ポイントで流したりという顧客本位のマーケッティング手法が生み出されると考えられます。
ワイヤレス・デバイスの普及によって様々なデバイスがネットを介して繋がることになり、それらを更に進化した TV ハードウエアがまとめてしまうような環境が実現すると予想されます。
TV というハードウエアが占有する家庭内の位置は変わらず、その前で映像を見るという習慣も変わりませんが、その中身はよりインターネットに繋がったコンテンツとなり、視聴者は番組の時間的な制約から解放されると共にオン・デマンドな操作によって欲しい映像や情報を欲しい時に手に入れ、TV スクリーンの空間を利用してこれまで以上のデジタル・デバイスが繋がった世界になりそうです。

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