2010年3月14日日曜日

収束しないトヨタ問題を「斜め目線」で解釈してみると・・・


既にプリウスの電子制御にまで波及したトヨタ問題ですが、なかなか収まる状況にありません。ここ米国での報道も、事故が再発したとか、法的な訴訟に発展するとか、法律を変えてでも安全基準を守らせるためにブレーキ・オーバーライド・システムを義務化するとか・・・この先はどうなるのかと思う現状です。

米国の論調は「トヨタは品質に問題があったにも関わらずその対応が悪かった」「トヨタは責任を取れ」ということですが、初期の対応が曖昧だったことも手伝って、一つの怒りが次の怒りへと連鎖し拡大していったようです。

トヨタはその責任をとってリコールに乗り出しましたが、一旦責任を認めると「あれも」「これも」と言いがかりを付けられるように問題が噴出して来る様はまさに「トヨタ叩き」という表現が当てはまっています。


最近の報道では、プリウスが暴走する様をテレビで報道し、ポリスカーがその車の前に回って力づくで車を停止させるようなあたかも「ショー」のような物まで出てきました。その様子をTV局が捏造した画面と共に報道するという念の入れようで、何が何でもこの機会に乗じて叩いておこう・・という意図が感じられます。

それでも、怒りはその時の感情表現でもありますので、ある程度の時間が経過すれば少しずつ収まり、後に残る事実としての客観的データが真実を証明することになるのは誰にでも分かることです。そうなってしまっては困る者(問題を煽ることで利益を獲得しようとする者)は常に問題が拡大するように燃料を投下し続けているようです。

電子制御装置の欠陥であることを立証したとする「ギルバート南イリノイ大学教授の実験」では有り得ない様な電子回路のショートを人為的に施して急加速することを証明したというような内容でした。まあ、どこのメーカの車でも「人為的に壊せば」おかしな動作をするのは当たり前でしょう。

米国は訴訟世界だと良く言われていますが、石を投げれば弁護士に当たると言えるほど沢山の弁護士がこの国では働いています。弁護士はその訴訟に勝つことで成功報酬として多大な金額を受け取りますが、その金額は訴訟相手が大きければ大きいほど大きくなります。相手がトヨタだと底なしの金額を提示できると考えるのが普通です。



米国の Safety Research and Strategies という Web サイトはこれまでもトヨタ車に関する問題だけを大々的に取り上げて注目させ、それらの問題を集団訴訟に持ち込むということを行っていますが、こういったグループと新聞社の記者とが手を組んでトヨタ問題をクローズアップさせているのではないか・・? という情報も流れています。

トヨタもそうしたグループの動きについては良く知っていたのでしょうが、残念ながら今回は大きな問題へと拡大し、オバマ政権の経済政策の効果、つまり GM に投入した国民の税金が無駄ではなかったという信頼を得るための長期的な作戦にトヨタは利用されているようにも見えます。

もちろんトヨタの車に問題が全くないとは言えないでしょうが、ここまでトヨタを叩くのは何か他の理由があるのだろうと勘繰りたくなる状況です。トヨタ車に乗っている米国人は今となってはアメリカ中どこにでもいます。それもある程度の階層(中流階層)以上にしっかりとトヨタ車は浸透しています。殆どのユーザはその車に満足し、取り立てて騒ぐこともなく、粛々とリコールの処理を依頼して、やっぱりトヨタ車に乗っています。

もちろんトヨタ車に関する新車の買い控えは発生していますが、今後のブレーキ・オーバーライド・システムの搭載などでその安全性はまた評価されることとなるでしょう。また、日本で報道されている情報から推測すると、この事件を教訓として日本メーカーは今後徹底した品質の見直しや人材の育成に乗り出し、より長期的な対策を進めるきっかけにもなっていると思います。

日本の製造業の基盤は匠の「ものづくり」とその「品質」にあると言えますが、このトヨタ問題を表面的に捉えて、日本の品質もダメになったと落胆してしまうと「相手の思う壺に嵌められる」と思います。

同じように、執拗に問題が拡大するように「燃料投下」が行われる状況に対して反対に「怒りをぶつける」行動に出ると、これもやはり「相手の罠に嵌る」こととなりそうです。

品質問題での教訓はもちろん日本企業なりにしっかりと行わなければなりませんが、こうした交渉の仕掛けや罠、相手の感情を逆なでして敵失を生じさせようとする米国の常套手段に対しても、日本企業や関係者全てが良く理解し、相手の土俵に乗らないことが大切です。


米国が本当に狙っている内容は何か? それはまだ見えていません。

全ては「ゲームであり」「交渉事である」という欧米(いや日本以外の世界)の感覚は残念ながら日本や日本人社会にはありません。「ゲームは切れたら負け」です。相手の望むものが何なのか焦らず見極めていくこと、問題を起こすための燃料投下はそんなに長くは続かないということ、相手の燃料(資金)がガス欠になるその前に必ず何かの形で要求内容が表れてくるはずだということを見越して、じっくりと品質の対応をしながら責任を果たしていく事でしょうね。

交渉するべき何かが有るからこそ、行動を仕掛けてくるというのが欧米の基本的な戦略です。それはこれまでの殆ど全ての戦争の歴史を振り返れば分かります。日本は恫喝したら言うことを聞く国だと欧米は思っています。そして、ある線を越したら切れて爆発するだろう・・ということも想定しているでしょう。

執拗に攻撃をしかけるシーシェパード、日本のイルカ漁を隠し撮りした映画がアカデミーで表彰され、クロマグロの規制が始まるなど世界が日本に仕掛けてくる内容は多岐に渡っています。

こうした米国や世界の動きを見ていくと、品質さえ高ければ、価格さえ安けれは、それで製品が売れるのかというと、そんな単純には行かないことが分かります。製品の競争力が高ければかつてのプラザ合意のように為替レートを変えて沈められることになります。また、日米半導体自主規制のように自ら販売を自粛するという道を取らされることもあります。

米国は景気が回復基調にあるというような論調を流していますが、実際の雇用は何も改善されていません。幾ら景気が良くなっていると宣伝しても、仕事がない者が現政権を支持する事はないでしょう。結果として政府は何とかして雇用を生み出さなければならない状況にあります。

しかし、今の状態で米国に製造業が復活するでしょうか? それは不可能でしょう。もし、1ドル=50円位にでもなるならば、米国で工場を稼働させても価格訴求力が期待できるかも知れません。またドル安を梃子にして米国製品を世界へ輸出するということも出来るかも知れません。

しかし、世界は繋がっています。これまでと同じように中国の元がドルにペッグされていると、ドル安=元安となって、もっと安い中国製品が出回ることになり、世界はさらに一段とデフレに振れるという最悪の結果になります。

米国が狙っている戦略は何か、それに中国はどう反応するのか、その中で日本は沈むのか、いや、上手くバランスシートを保って見立たない中で利益を上げる構造を生み出せるのか、良く考えて行動しなければなりません。



相手のペースに乗せられると負けです。日本全体でこうした世界の動きを常に注目して行動する事が求められますが、残念ながらそういった情報は流れず、偏ったニュースだけが流れているのがこれまでの日本の仕組みです。


外交的手腕と力があれば、日本の製造業の弛まぬ努力は必ず花開かせる事が出来るでしょう。しかし、今の日本の外交力ではそれを期待する事は難しいですね。日本に住んでいると実感が無くて分かりませんが、米国から見ると日本は独立している国には見えません。日本の各地(数十か所)に米国の軍事基地があり、米軍が自由に使える膨大な武器がそこにあるのです。これはどう見ても米国に占領されている国です。アメリカがその気になって銃口を日本に向ければ(そこに既にありますから)、日本はあっという間に降伏です。なにも出来ません。

まだ日本は経済であれ、文化であれ、戦える姿にもなっていないのが現状です。世界から見ると、米国に占領され続けている国。そんな国に国際的な決定権などある訳がない・・・人間も、文化も、技術も素晴らしいけど独立国ではない国に発言力などないよね。というのが言葉にならない現実でしょう。

トヨタ問題を「斜め目線」で見ると、日本の置かれている立場がどれ程軟弱で国力が無いのか、必死で技術を磨き、製品を生み出してきた努力も世界のエゴの中で簡単に葬られるということを感じるのですね。まずは日本が独立しなければ何時までも同じことの繰り返しで何も始まらない。でも、慌てて地雷を踏まないようにしなければなりません。
 
 

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