2010年5月2日日曜日

iPad の好調さは新しい戦いの始まりかも?

Apple の iPad は米国で 4月3日に発売され初日に 30万台、最初の1週間で 50万台を売上げています。アナリストによると年内には約 500万台は売れるという予測が出ています。米国での販売が予想以上に好調であることで、日本など米国以外での iPad の発売が 1か月以上遅れる事態となっています。その好調の iPad ですが 4月30日には iPad Wi-Fi+3G モデルが発売されました。


Wi-Fi+3G モデルでは IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 2.1+EDR に加えて、UMTS/HSDP(850/1900/2100 MHz)、GSM/EDGE(850/900/1800/1900 MHz)のデータ通信機能を内蔵され、かつ SIMロックはかけられていません。

早速ガジェットニュースでお馴染みの GIZMODE で 3G のテストが公表されています。

英語版の GIZMODE iPad 3G Test Notes 記事はここから
日本語版の GIZMODE iPad 3G Test Notes 記事はここから

3G が搭載されていれば WiFi のホットスポットを探すことなくどこからでもネット接続できるため、これを待っていたユーザーも沢山いたでしょう。


iPad に関してのニュースそのものはこれから沢山の評価が出てくると思われますが、Apple は iPhone の次期モデル iPhone 4G でも話題をさらっています。日本でも大きく報道されましたが、意図的か? 偶然か?、開発試作品の iPhone 4G をバーに置き忘れた Aplle のエンジニアがいて、それを GIZMODE が紹介したことから大騒ぎとなっていました。全米のニュースでも取り上げられ、発見場所のビアガーデンも合わせて有名になったと思われます。


Apple はそのニュースに関係したのかどうか分かりませんが、6月7日に開催される Apple のカンファレンスで実際の iPhone 4G の発表を行うだろうと見られています。

Apple Worldwide Developers Conference Kicks Off June 7 in San Francisco の発表記事

それに先立って Apple は「iPhone」や「iPad」に採用されている iPhone OS の最新バージョン「iPhone OS 4」を発表しています。「iPhone OS 4」では望まれていたマルチタスク機能が解禁され、ニンテンドー DS や PSP などの携帯ゲーム機には無い、オンライン化された「ゲームセンター」機能や企業ユーザー向けの機能などが登場するようです。

「iPhone OS 4」を搭載することで、インターネットラジオアプリ「PANDORA」をバックグラウンドで聴いたり、アプリケーションと iTunes の連携も可能になります。Skype をバックグラウンドで動作させることもでき、カーステレオ一体型のナビゲーションシステムとして音楽を聴きながらのルート案内も可能です。

iPad で狙っている電子書籍を iPhone でも利用でき、「ゲームセンター」には SNS 機能を搭載して友人とゲームを通じた交流を行うことができるようになるようです。広告分野では「iAd」が搭載されアプリ開発者の手で広告を挿入可能になり、売り上げの 60%がアプリの開発者に支払われる仕組みも利用できるようになります。


「iPhone OS 4」を搭載した iPhone はこの夏に、iPad は秋に発売されそうです。その時点ではソフトウエアの細かいレベルアップも期待できますので、使い易さも向上すると考えられますね。

以上のように非常に勢いに乗る Apple ですが、そうしたニュースの陰で Microsoft から一つ残念がニュースが出ています。

マイクロソフトは注目を集めていた 2画面タブレット Courier の製品化を否定したようです。理由は明らかになっていませんが、以下にあるような Microsoft のデモを見たときには「これは面白い!」と感じていたのに残念ですね。iPad が好調な時だけに何か寂しい気がします。



この Courier のデモは見たとおり非常によく出来ていて、このままの UI(操作性)が実現されるならば、学生から企業人まで幅広く普及するだろうと考えていました。残念ながら Microsoft はこの領域での勢力を Apple から奪うことは難しいように思われますね。

しかし、こうした Microsoft の低迷が Apple の独断を許すかというとそうは甘くないかもしれないというニュースが最近出てきました。

iPhone に対抗しているのはお馴染み Android (Google) で、日本でも最近発売になった NTT ドコモのスマートフォーン Xperia が注目を集めています。2010年には沢山の Android 端末が各社から発売される予定で、何につけても縛り(囲い込み)を要求する Apple と常にオープンな戦略の Google との一騎打ちが予想されています。

iPhone の得意分野と Xperia の得意分野は同じではないので好みの問題があるでしょうが、どちらもそれなりに素晴らしい内容ですが、携帯電話という世界で捉えると、電話帳に纏わる機能と SNS が組み合わさった Xperia は日本のユーザーには受けるのかな?とも思います。しかし同じようなデバイスを2つも3つも同時に持ち歩くことは逆に不便ですから、買い替え時期を見越した販売戦略が重要になるでしょうね。


Xperia については日経トレンディネットが詳しくレポートしています

以上のように、世界は iPhone と Android の戦いか・・・と思っていると少し驚きのニュースがやってきました。何と HP があの Palm を買収するということです。

今年の初めに私は、「パームはマイクロソフトの一部になるか、BlackBerry で知られるリサーチ・イン・モーションに買収されるのではないか?」とこのブログで書きました。「買収される」という部分は当たりましたが、相手が HP だとは?まったく予想しませんでした。

HP は Palm を $1.2B(12億ドル)で買収することを発表しました。このことは今後ひょっとするとモバイル業界に大きな地殻変動が起きるかも知れないという興味を沸かせます。

HP の担当上級副社長 Brian Humphries は「シリコンバレーの 2大アイドルが力を合せていくチャンスが得られたことはまことに喜ばしい」「webOS は携帯 OS として最高の製品だ。われわれは全力で webOS を盛り立ていく。ここ 3年から 5年でこれに匹敵するレベルの OS は誰も開発できないだろう。われわれは HP の資金力で webOS を新しいレベルに改良していく。」と言っています。


そして、「われわれは非常に優れた OS を手にすることができた。HP は Apple、Google と積極的に競争していく」「HP は Palm が保有している 1500件の特許も引き継ぐことになる」「今回の買収のカギは webOS であり、Palm のハードウェアではない」ということです。

これは HP がモバイル分野に大々的に再参入したことを表しています。ということは今後 webOS が多くの HP 製品に採用されていくと考えられます。

HP にはずっと以前から iPAQ という Windows Mobile OS を搭載した PDA があります。使い方によっては面白いものですが、残念ながら世界の注目を集める商品とはなっていません。webOS を iPAQ デバイスに載せて進化させるということも考えられますが、それよりも面白いのは、HP が既に発表している Slate (タブレット PC) の OS を Windows 7 から webOS に変えて(Windows 7 バージョンを無くすことはないでしょうが)完全に iPad に対抗する製品を出すという案です。

Microsoft の Windows は PC 領域での企業向け対応から離れることが出来ませんので、どうしても重たい体を引きずった展開になり、モバイル領域での機動性を発揮できないことは HP もこれまでの長い失敗の経験から良く分かっているでしょう。だからと言って Microsoft と喧嘩する訳にもいかず、また Google と組むことも出来ず、おいしい所を Apple に全て持っていかれるのを黙って見ているしかないのかという状況でしたが、Palm の買収による webOS の獲得で、一気に戦いの主役を演じられる条件が揃ってきました。

Palm のコンセプトや webOS は以前から高い評価がありましたが、如何せんハードウエア開発にかかる資金不足や広告が十分に打てないなどの財務的な問題によって十分な製品化やマーケッティングが出来ないままに、ジリジリと撤退を続けるという状況でした。HP は Palm の技術を買い、その技術を HP の資金力で製品化するということですから、期待が持てる展開になると考えられます。

以下は、Windows 7 搭載の HP State のビデオです。これが webOS になると非常に面白いデバイスが出来上がるでしょう。



結果としてモバイルの世界の戦いが、iPhone vs. Android から、iPhone vs. Android vs. Palm(HP) という構図になり、同時にその領域がスマートフォンだけでなく、State のようなタブレット PC の一部を含んだ領域へ拡大されたことになります。

昔から戦いが三つ巴になってくると市場は本格的に活性化すると言われていますが、2010年を契機にしていよいよ大きなバトルが展開され始めると、来年の今頃には「基本がタッチスクリーン」で「WiFi 3G か 4G」「SNS 組み込みでオンラインゲーム必須」「欲しい書籍は殆どが eBook で調達」という世界がやって来るかも知れません。競争が激しくなるともちろん製品価格は下がって来るのが常識ですから、その結果として市場はさらに発達するでしょう。

では、デスクトップ PC は? そうですね、クラウドに保存しているデータのバックアップとしてのホームサーバーになっているかも知れませんね。
 
 

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