
日本は連日 TPP 問題で騒がしいようですが、TPP の主要相手国ここ米国では TPP の文字すら見ることはありません。まったく無い訳ではありませんが殆ど稀と言っても良いでしょう。まあそれだけを見ても米国に不利な条件など TPP に存在しないことが分かります。米国に不利な内容が含まれて入る場合、米国民や議会が大人しくその状況を見守ることなどあり得ませんからね。
現在の米国は来年の大統領選挙の前哨戦に入っています。これまで経済政策が上手く機能していないオバマ大統領は、この辺りで大きな成果を上げなければ 2期目は敗北という結果になるでしょう。今、オバマ大統領が喉から手が出るほど欲しい成果とは、雇用の拡大です。ということは米国が進める TPP は米国の雇用拡大に寄与するものだという推測が立ちます。
うーん、TPP を推進して米国の雇用が拡大するということは、相対的にみれば日本の雇用が更に減る・・ということになるのでしょうかね。
いやいや、今、日本で連日言われていることは、日本の農業が壊滅するということですよね? 日本の農業が壊滅すると米国の雇用が拡大するのでしょうか? 直ぐにはそのように結びつかないですが、何かカラクリでもあるのでしょうかね?

確かに TPP を現在の流れのままで受け入れれば日本の農業は大きな打撃を受けるでしょう。農産物に関する関税の撤廃は日本の零細農家に取って致命的です。しかし以前にも書きましたが TPP が取り扱う項目は決して農業関係だけではありません。むしろ農業関係はマイナーな分野で、決してそれが米国の主要目的ではないのですね。米国が狙っているのはズバリ非関税障壁の撤廃です。
これは以前にも書きましたが、TPP で協議される項目は概ね以下の内容です。
・工業製品、農産物、繊維・衣料品の関税撤廃
・金融、電子取引、電気通信などのサービス
・公共事業や物品などの政府調達方法
・技術の特許、商標などの知的財産権
・投資のルール
・衛生・検疫
・労働規制や環境規制の調和
・貿易の技術的障害の解決
・貿易紛争の解決
連日取り上げられている農業問題などは極々その一部でしかありません。政府もマスコミもその詳細をこれまで殆ど説明してこなかったのですが、ここにきて最後に少しは情報を出しておかなければと僅かではありますが TPP に含まれている危険性が露わになってきました。これはすぐそこに迫った APEC で日本の首相としてまたぞろ「ええ格好したい!」ため、最後のドサクサ紛れでも必要な説明はしたじゃないか、でも時間が足らないので、まず参加を表明して、それから細かいことは調整しよう・・という国民を騙す何時もの手口ですね。

APEC で TPP への交渉参加を表明することによって、鳩山の 「CO2 25% 削減」、管の 「平成の開国」、これに続く 「日本沈没への止めの一発」 となる可能性があります。
しかし、先日の韓国大統領が 米韓 FTA の締結(韓国議会は韓国内でまだこれを承認していませんが)によって国賓として米国に招待され、それはそれは盛大な歓待を受けたように、日本の野田首相も大層米国で歓迎してもらえるでしょう。「日米の歴史上これ以上ないパートナーシップが生まれた・・・」などと表現されるかもしれませんね。
残念ながら、日本は米国と中国という「荒クレ、イカサマ、野蛮、強欲」国家に挟まれ、常に騙されて、綿々と国民が真摯に築き上げてきた国益・富を奪われる宿命となっているのです。
アメリカが仕掛ける TPP の本質とは、アメリカのアジア戦略であり日本と中国を分断させて(これ以上接近させないで)アメリカ権益の太平洋側防波堤とし、その日本からは出来うる限りの富を奪い米国民に益を届け、同時に今後日本が一人で自由に立ち上がれないように数々のルールという罠を仕掛けて思いどうりにコントロール出来るようにすることです。
米国が日本を思いどうりにコントロール出来るようになれば、日本を使って中国を間接的にもっと効果的にコントロールできるようになるでしょう。
中国は教育制度などで常に日本を敵視し、更にミサイルの照準を常に日本各地に向けている(何時でも発射できるようにしている)国ですが、実は日本の力や協力(特に資本財の提供)が無ければ世界の工場として成り立たない国です。同時にアメリカは常に日本を持ち上げているように見せかけて実は軽視していますが、その半面、日本の技術や国民の目に見えない水面下での協力が無ければ最新鋭の武器も作れず、雇用も守れない国となっています。
アメリカは日本人(国民)が気づいていないそのような日本の力を日本国民に覚られないように我が物とし、アジアを手中に納めて世界戦略を組み立てているようです。
では、アメリカがそのように企んでいるのであれば、日本は中国と組めば良いじゃないか・・と考えられるかというと、日米安保という枠組みで日本は未だ米国に占領されている国であり、自主的に外交政策を作れるようなレベルではありません。それ以上に日米安保を失うと尖閣の例を見るまでもなく日本は中国、ロシアからの攻撃を受けることは明らかです。もちろん「攻撃」=「ミサイル発射」ということではありませんが。
現在の世界情勢のなかで米国の核の傘が無くなればその他の国の「核」に脅されることは明白です。「核」は現実に抑止力として存在しています。北朝鮮が「核」に拘るのも、イランが「核」に拘るのも、インド、パキスタンが「核」を保有したのも、「核」を持っていなければ国を取られるという人間として尤もな防衛本能が働くからです。

TPP とは「環太平洋戦略的経済連携協定」ですが「環太平洋」という割には、メキシコとカナダが入っていません。シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド等と比較してより大きな経済規模を誇るであろう国が参加していないのにはやはり理由があります。
カナダとメキシコは自由貿易協定である NAFTA(北米自由貿易協定)に加盟していますが、そこで導入された ISD 条項なるものに酷い仕打ちを受けているからです。TPP にはもちろん同じような ISD 条項が盛り込まれています。結果として ISD 条項によってカナダもメキシコも国家主権が侵されています。それは現在でも続いているのです。
カナダでは特定の神経性物質を燃料へ添加することを禁止していました。同じ規制はヨーロッパや米国のほとんどの州にも存在します。しかし、米国のある燃料企業がこの規制で不利益を被ったとして ISD 条項に基づいてカナダ政府を訴えたのです。審査の結果カナダ政府は敗訴。巨額の賠償金を米国企業に支払い、かつこの規制を撤廃させられることとなっています。
ある米国の廃棄物処理業者がカナダで処理をした廃棄物(PCB)を米国国内に輸送してリサイクルする計画を立てましたが、カナダ政府は環境上の理由から米国への廃棄物の輸出を一定期間禁止しました。これに対し米国の廃棄物処理業者は ISD 条項に従ってカナダ政府を提訴。カナダ政府は 823万ドルの賠償を支払わせられることとなっています。
メキシコでは、メキシコ国内の地方自治体が米国企業による有害物質の埋め立て計画に危険性があると判断し、その許可を取り消しました。この米国企業はメキシコ政府を ISD 条項に従って訴え、1670万ドルの賠償金を獲得しています。

これから分かることは、つまり ISD 条項とは、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境などの基準を自分たちで作れなくなる「治外法権」規定なのです。グローバル企業が自らの利益のために他国の主権を侵害することが出来る仕組みであり、相手の国を訴えてその国の主権までもを変えようとする「エゲツナイ企業」は殆どアメリカ企業であり、相手を慮る日本人が経営する日本企業にこのような動きが出来る訳がありません。精々小さな譲歩を引き出すぐらいでしょう。
常に訴えられるのは日本政府であり、防戦一方の中での駆け引きでは良い条件を常に相手に与えることになるのは見え見えです。そんなことはこれまでの日本外交の歴史が全てを証明しています。アメリカとは一蓮托生のように思えるカナダですらこのように簡単にアメリカ企業に国がやられるのです。日本企業なんか脅せば何とでもなる・・と考えているグローバル企業にしてみれば、日本が ISD 条項を呑むということは明らかに合法的に(日本に恨まれずに)好き放題出来るというお墨付きが出来るということです。
先日、米韓 FTA が締結されるようなニュースがありました。これを受けて「バスに乗り遅れてはいけない・・」などという馬鹿げた意見が見受けられますが、この米韓 FTA でもこの ISD 条項はしっかりと組み込まれています。これはまさに毒薬・毒まんじゅうなのです。韓国は今になって国会で米韓 FTA を批准するかどうかもめていますが、韓国も今の日本と同じように詳細な情報を国民に開示してこなかったため、その内容を検討することすらできていなかったのです。

しかし、韓国の情勢を見れば米韓 FTA は必ず締結され、韓国は21世紀の米国の植民地となって行くでしょう。先日 10月18日、野田首相が訪韓し日韓の通貨スワップ枠を 130億ドルから 700億ドルに拡大することを約束しました。これは 5兆円以上の資金を韓国に差し出すことと同じ意味を持っています。これを受けて野田政権が東北の復旧よりも韓国を救うことを目指したというのは短絡的な見方です。(もちろんそれもありますが)
韓国はこの日韓の通貨スワップ枠を拡大出来なければ国そのものが破綻する状況でした。「え、サムソンやヒュンダイが快進撃している韓国が破綻?」と思うかもしれませんが、破綻しないのであれば通貨スワップなど必要ないのです。
何としてもスワップ枠を広げなければならない韓国としては(韓国は以前に破綻し、IMF 統治下で非常に厳しい運営を強いられていますので、何としてもそれは避けたいのですね)破綻しないように米国政府から日本にプレッシャーをかけて欲しいため、米韓 FTA を丸のみしてでもスワップ枠を・・お願いします・・・と、オバマ政権に頼み込んだのだろうと推測します。
ちなみに前回韓国が財政破綻し IMF 統治下にはいった後、韓国の主要銀行や主要企業は大株主として外資を受け入れ、実質的に韓国企業の多くは外国資本とされています。つまり現在では韓国企業が儲かれば儲かるほど外国資本(アメリカの資本家)に金が流れるという仕組みになっています。
韓国企業が儲かるためには通貨であるウォンを安く設定し輸出攻勢をかけなければなりません。事実ウォン安基調は続き、米国での韓国企業のプレゼンスは際立って高くなっています。逆に日本円は高くなり、サムソンやヒュンダイに米国市場で負け続けるという結果となっています。結果として韓国企業の儲けは米国の資本家に渡ります。
しかし、ウォン安が続くと資本財を日本から輸入しなければやっていけない韓国は日本への支払額が永遠に増大して最後は破綻します。もう日本に対する赤字が大きくなりすぎて借金を返せません。韓国がつぶれると米国の資本家の取り分が減ります。だから韓国をつぶさないようにスワップ枠を広げろ・・と米国は野田首相を脅したのでしょう。野田首相はのこのこと韓国に出向いてスワップ枠を広げ、韓国は毒薬である米韓 FTA を呑むこととなるのです。グローバル資本家はウォン安で韓国製品を米国民に買わせ、韓国企業を儲けさせてその益を刈り取り(大株主ですから)、ウォン安で韓国企業に溜まっていく借金を、日韓スワップで日本政府に(日本の国民の税金で)肩代わりさせているのですね。更に円高を円安に誘導させるために日銀に円売り・ドル買い(米国債買い)までさせてきます。
結果として、アメリカの僅かな数の金持ちが、全体の殆どの富を持つというグローバル化による格差の極みが生まれているのです。世界中で始まっているデモはこうしたグローバル化の悪弊に対するせめてもの民衆の抵抗だと言えるでしょう。
冒頭で TPP の本質は非関税障壁の撤廃であると述べました。もう既に先進国間では生産がグローバル化されてしまっているので農業関係以外の関税の問題など殆ど無いのですね。日本の車やその他の工業製品も多くは日本以外の国で現地生産されています。アメリカで作られる日本車(TOYOTA, HONDA, NISSAN その他)をアメリカで売るのに関税など掛りません、ヨーロッパでもロシアでも同じことです、主要な製品はもう既に現地生産されているのですから関税など関係無いのです。
米国は既に競争力のある工業製品など持っていません。米国から輸出できるのは農産物だけです。それなのにアメリカが TPP を迫るのは、ISD 条項を盾に日本の非関税障壁を崩してアメリカの得意な医療、保健、サービス、法律関係処理などを日本市場にねじ込んで米国の雇用を増大させたいからです。
TPP 締結
--> 米系グローバル企業が日本へ参入
--> 日本の独特な仕組みや歴史や言葉(日本語)によって
グローバル企業が日本に投資した資金が損なわれたと提訴
--> ISD 条項によりグローバル企業の勝訴
--> 日本に昔からある仕組みや、文化は変更させられ、
グローバル企業の基準に書き換えられる
(日本でそれらを禁止する法律を作っても、TPP の方が優先することが TPP のミソなのですが、それを政府やマスコミは決して表現しないのです)
TPP を締結することでグローバル企業から「それは障壁だ」と訴えられたらもう守る術がない。
もし、米国企業が「日本語の仕様書」を「障壁だ」と訴えたら、日本での仕事も全て「英語」で行わなければならないことになる。日本で法律を作っても効力が無いのだから、公共工事も英語で説明しなければならなくなる。そうすると米国から英語を教えよう、英語に関してはこの米国人を使え・・、英語での契約書はこの米国人弁護士に・・と米国人の雇用が増え、日本人は失業するか、その下請けに甘んじることになる。
医療関係での混合診療も同じような背景があると見ています。世界で一番充実しているであろう日本の健康保険制度を崩して保険関係や医療で大儲けしたい米国は、混合診療を解禁させ、かつ健康保険でカバーをさせない状況を作り(最近裁判結果が出ましたね)、そこにアメリカ系の保険会社を送り込んで、混合診療を受けたい患者を取り込んで契約させ、徐々に日本の制度を壊したいのだろうと予想されます。
日本の国家資格の取得に日本語が使われているのが障壁だということになれば、医師の国家試験や公認会計士の試験も英語になってしまい。いつの間にか日本人以外のドクターに囲まれて医療を受けるようになってしまいます。日本人はそんなことを受け入れられるはずが無いでしょう。しかし日本語を喋るのは世界中で日本人だけで、その他の国の殆どは英語が喋れるという状況では、日本語が問題視される時が必ずやって来るでしょう。TPP にはそれだけの危険性があるのですが、何時ものように日本の国民はそんなことも知らず、知らされず、「輸出産業が活性化するのは良いことじゃないか、農業も改革しなければならない問題だし、まあ、とにかく参加して様子を見たら・・」とこれまで散々世界に騙されてきたにも拘らず、世界を信じて呑気に「何も大切なことを言わない TV と新聞」を読んでいるのです。
ついでにもう一つ言うならば、今のアメリカ政府は議会から TPP の交渉に関する委任を受けていません。ということは、今アメリカのオバマ政権と交渉しても、その後アメリカ議会に話をひっくり返されるという可能性があります。オバマ政権は交渉の当事者ではないのですね。
今の状態で ISD の毒薬条項に関して気持ち良い返事をオバマ政権から受け取っても、それは保障されないことになり、「そんなことは言っていないぞ、我々が本当の交渉の当事者だぞ、我々の言うことを聞くということが交渉に参加したということじゃないのか・・」などど押し込まれて譲歩する「後の祭り」になる可能性もあります。いや、むしろそれを日米の当事者は詭弁として上手く使って国民を騙そうとしているのかも知れませんね。相手は「騙される方が悪い」と平気で思っているアメリカです。「騙された我々にも非がある・・」と簡単に思う日本人を騙すのは簡単です。
TPP に対しては「何もしない」のが日本の得策でしょう。いつもの様子見が日本を救います。

何もしなくても、米国は日本が必要だし、中国も日本が必要です。韓国に至っては日本がいなければ即死します。
何もしなくても世界は、歴史の一番長い、一番最古の国、日本(注:決して中国ではありませんよ)へ、一番優しい国、日本へとその好意を寄せてくれるのです。
学校で学んだ日本の歴史や近代史には嘘が沢山混じっています。本当のことが書かれていません。それらを鵜呑みにして間違った感覚を植え付けられたのも、日本人が自滅するように仕向けた世界の戦略だったということを知って欲しいと願っています。
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