2012年1月30日月曜日

政治の衰退は何処も同じ、どこが未だマシかを争うしかないのか・・

・・いや、元々政治とはこのようなもので私たちがその実態を知らなかっただけなのだろう。

ご存じのように、オバマ米大統領は1月24日(日本時間25日)The State of the Union(一般教書演説)で、米国民に対し大衆(金持ち対象ではない)重視の経済ビジョンを示しました。富裕層に対する大幅増税、住宅ローン関連危機に関する新たな対策、国内製造業のてこ入れ等、オバマ大統領の政策リストは、税制、広範な経済不平等の解決案など生活に苦しむ国民を守る者としての立場を表現しました。しかし、これらの聞こえの良い演説はやはり次の大統領選挙に向けたものとして聞こえてしまいます。

前回の大統領選挙では、共和党のブッシュ政権が作ったツケを一掃するが如くの切れ味の良さがありましたが、これまでの経済政策の結果が思ったように行かなかったこともあって、どことなく、さりげなく、上手く行かないのは大統領の政策を邪魔する「議会」が悪いのだというイメージを醸し出しながら、上手く逃げを打ち、その中でも共和党の対抗馬よりも期待値が高いという印象を付けるようなものに聞こえます。

以下はその The State of the Union でのオバマ大統領の演説です。まあ、長いですから時間のある方は見て・聞いてみてください。



それでも、「消費税増税」こそが日本のやるべきこと・・と、自らが選挙演説で宣言していたことの真反対の政策を本気になってやっている日本の「泥鰌」よりは遥かにマシに聞こえます。

以下は最近ネットで流れている野田総理の選挙前の街頭演説です。まあ、当選し、総理になったら、嘘でも何でもやり放題・・という確信犯ですね。





「天下りを無くす」と言っていた「一丁目一番地の政策」がいつの間にか「デフレ下での・・消費税増税」というものに代わっている暴挙ですね。

その時その時の人の心を捕えるという術にかけては卓越した能力があるのでしょう。如何にも実直そうに見せ、如何にも愚直にも真直ぐに進むかのように見せ、実は、何処に行ってもその時のその時の相手に迎合してその場の雰囲気を作り人心を惹こうとする。

まあ、早い話、偽善を武器にした八方美人型・詐欺師かも知れませんね。「あっち」で言ったことと「こっち」で言ったことの整合性がありませんから、常に何事も調整するしかないのですね。これを調整型の政治家と世間は言うのでしょう。今は総理の職と財務省という官僚身分(真の統治者)との利害調整作業の結果、「消費税増税」に命をかける・・ということになっているのですね。もうあの選挙の時のように目の前に国民は居ませんから、目の前にいる官僚に対して八方美人を行っているという結果です。

この後、衆議院解散となり政権与党から追われた後、またどんな選挙演説をすることやら・・・。とにかくこうして国民は何時も政治家に馬鹿にされているのです。

話をアメリカに戻しましょう。オバマ大統領の一般教書演説にも再選を意図した内容が多く、ラテン系アメリカ人や女性、ウォール街に抗議するグループ、労働者、環境保護主義者など、あらゆる投票者層に訴えかける政策が盛り込まれていました。しかし政策内容の聞こえが良くとも最終的には議会がそれを承認しなければ実現しないものも多く、現実的なのかどうかには疑問符が付きます。細かい点はこれからの選挙戦の中で共和党候補者とのディベートなどを通して明確になっていくでしょう。

その中でも注目すべき項目は以下のようなものです。

1.製造業復活のための政策(優遇税制)
2.富裕層への増税
3.天然ガスの活用(シェールガス)
4.中国対策
5.研究開発・教育・インフラ開発


どれももっともな政策です。全てをここで細かく検証することはできませんが、「製造業復活」というのが今の米国にとってどれ程困難であるかを示すようなビデオが New York Times から The iPhone Economy というタイトルで公開されています。 以下がそのビデオですが、現状がここまで進んでしまった以上そう簡単に製造業が米国に戻ってくるとは思えません。




サービスに従事する 86% に対し、製造業で働く人はすでに 14% にまで下がっています。はたして優遇税制だけでこの流れを取り戻せるでしょうか?

一度出て行ってしまった工場を元に戻すためには、そこで働く人に対する教育や意識改革など多くの課題をクリアーしなければなりません。The iPhone Economy のビデオでも表現されていますが、既に中国や東南アジアでの作業者の質が上がり、単に安かったという時代は終わり、ある程度の技術レベルを保有するようになった現在、米国基準でみてかなり低い賃金でなければ世界で製品競争力を発揮できないでしょう。

そのためのドル安政策であると見れば現在の為替レートも納得出来るものがありますが、それで製造業を復活させるとなると、1ドル=30円位になってしまい日本はその煽りを受けて大変な事態となってしまいますね。

もしそうなれば、日本の工場が皆米国に引越して、そこから世界へ輸出・・・などということも起こるのでしょうかね。米韓FTA が締結されれば、米国製のトヨタ車が米国から韓国に輸出されるだろうという見方もありますので、あながち絵空事でもありませんね。


上の図は「シェールガス」の今後を表したグラフです。これまでの天然ガスに代わり米国には「シェールガス」を今後大量に採掘出来ることが分かっています。以前は採掘が難しかった「シェールガス」も技術革新によって安全に効率良く取り出せることとなってきました。

20世紀における世界の動向は、石油資源をめぐるエネルギー覇権獲得の戦いでもありましたが、アメリカは「シェールガス」を自前で調達できる目処が立ってきたことから国策としてのエネルギー政策を変えてきています。イラク、アフガンからの撤退や中東・アフリカ諸国への関与の度合いなどもこうした背景から生まれてきています。

現在は次期大統領選挙の前半戦ですが、米国における世論調査の一部を見てみましょう。

以下の図は WSJ/NBC News によるオバマ大統領と共和党候補とのレース状況です。
お互いに勝ったり負けたりで、まだその優劣は分かりません。


以下の図は RCP Average による共和党候補者のレース状況です。
現在は、ニュート・ギングリッチ氏とミット・ロムニー氏の戦いになってきています。これも上がったり下がったりで、まだまだ決着が付くまでには時間がかかりそうです。


世論調査はそのソースによってそれぞれ大きく結果が異なりますが、それでもこのように一括していろいろな調査結果がグラフで見られるというのは政策判断をする上でも有効に機能するでしょう。

Election 2012 のサイト

オバマ大統領の演説が一般大衆向けに偏っているということは、ある意味で米国はこれからなりふり構わず米国の国益追求のための政策を繰り出してくるということです。オバマの一般教書演説の次の日の25日、アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会は、物価の上昇率が2%となることを目標に金融政策を運営していくことを決め、将来の金融政策の見通しを公表しました。これは即ちインフレ目標を設定したということです。またFRBは事実上のゼロ金利政策を解除する時期を、これまでより1年余り先延ばしし、少なくとも2014年の遅い時期まで続ける方針でもあります。

これは日銀の政策とある意味真逆の政策です。バーナンキFRB議長は会見で「長期的なインフレ率は主に金融政策によって決定されるため、FOMC(連邦公開市場委員会) はインフレの長期的な目標を具体的に定める能力がある。」と言っています。 日本の失われた 20年は名目GDPがデフレによって減少し続けてきた 20年だとも言えます。 デフレにより経済規模が縮小し、雇用も縮小し、多くの企業の売り上げが減少してきました。日本経済の長い低迷の理由はこのデフレが主たる要因です。  

FRB議長は、「デフレは、金融政策によって中央銀行が自由にコントロールできるものであり、デフレを是正し、適切なインフレ目標値を設定することが中央銀行の大切な役目だ」と述べています。しかし、日本銀行はこれまで、デフレを脱却することに消極的で殆ど何もやっていないような状況です。

巷には「日本がインフレ積極策をとれば、多額の債務を抱える日本政府や国債が金利上昇によって、破綻し、超インフレになる」と言う人が沢山います。しかし、現在デフレが進行している日本でインフレ積極策をとっても実際にその効果が出るまでにはかなりの時間とステップが必要です。引き締めは経済が適正化してから行わなければなりません。FRB はその時期が 2014年の後半からと言っているのですね。

デフレ状況を放置したままで、税収確保のために増税をするとどうなるか?
減収しているなかで増税したらもっと税収は下がるでしょう。その状況で赤字国債を発行し、その殆どが公務員の給与に消える。もうギリシャと同じ状況ですね。更に米国はゼロ金利政策の解除を先延ばしするのですから、円高、ドル安は更に続く可能性が高いでしょう。

米国の政策を見ながら、日本の政策の可笑しさを憂う毎日はいつまで続くのでしょうか?
2012年が何かの起点となり、詐欺師のカラクリが見え、世界が適正な方向に進み始める年になって欲しいと願っています。
 
 
 

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